【海外動向・注意喚起】韓国で拡大する新種薬物の脅威──若年層に広がる合成大麻と「パラフルオロフェンタニル」の流通実態

韓国における新種薬物の乱用が急速に拡大しています。特に10代における電子タバコ型の合成大麻、20〜30代における重複投薬による薬物接触、さらには高リスク薬物「パラフルオロフェンタニル」やコカインの摘発件数の増加が深刻な社会問題となりつつあります。

2024年5月、韓国の国立科学捜査研究院(科捜研)が発刊した『麻薬類鑑定白書2024』によれば、同国における麻薬関連の鑑定件数は2018年の約4万3千件から、2024年には12万件にまで急増。うち、新種麻薬類の鑑定依頼は35%に達し、特に10代の合成大麻電子タバコの使用が顕著に増加していると報告されています。

さらに2024年12月、統計庁および韓国刑事法務政策研究院が発表した『韓国の社会動向2024』には、より詳細なデータが示されています。

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 補足統計:韓国における薬物乱用の実態(2014〜2023)

麻薬犯罪者数:2014年 9,984人 → 2023年 27,611人(約2.8倍)

取り締まり件数:8,648件 → 約22,300件

大麻使用者数:4,085人(10年間で3.4倍)

向精神薬(ヒロポン等)事犯:2016年 1万人 → 2023年 19,556人(過去最多)

SNSを介した麻薬流通摘発件数:2018年 74人 → 2022年 105人

年齢別比率:
 ・10〜20代:2023年 35.6%(30代を超える)
 ・40代:14.2%/50代:10.3%(減少傾向)

供給犯罪の急増:2014年 3,416人 → 2023年 10,226人(3.6倍)

暴力団関与:2019年 21組織・29人 → 2023年 35組織・72人

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【本フォーラムの見解】

韓国社会で生じているこの急速な薬物事犯の拡大は、もはや“対岸の火事”ではありません。

なかでも「パラフルオロフェンタニル」は、フェンタニルの類似体であり、微量でも呼吸抑制によって短時間で死に至る極めて危険な物質です。日本でもすでに「麻薬」として法的に規制されていますが、現時点では国内での流通確認はないものの、時間の問題と見るべきでしょう。

日本では現在、同物質の流通は未確認とされていますが、韓国で出回っている事実は、日本への波及が時間の問題であることを強く示唆します。

本フォーラムは、次のような対策を緊急課題と位置付けています:

若年層への教育とアクセス遮断(特に電子タバコ型薬物)

SNS型薬物流通への監視と摘発の強化

包括的な類似体規制(フェンタニル系、デザイナードラッグ系)

科学捜査と社会復帰支援を両立する政策モデルへの転換

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引用出典:

科捜研『麻薬類鑑定白書2024』

統計庁『韓国の社会動向2024』

毎日経済新聞日本語版(2024年12月19日)https://www.mk.co.kr/jp/economy/11198449

2025年6月8日(日) 23:15 <bann82788@ares.eonet.ne.jp>: